独語15 犬の声帯切除

犬が吠えるのは、正常な行動で、何かを伝える役割を担っているが、犬語が分からずボディランゲージと相まって少ししか理解できません。困ったことに、やたらに吠えまくってうるさい場合は、近所迷惑になったり、人との対話(電話を含む)が困難になるなど、大きなトラブルになることがあります。特に、屋外飼育の場合は、近隣からのクレームに悩まされます。
このような吠え犬(喚き犬)を治そうとして、多くの方は、吠えている犬に対して大声で叱り言葉をかけます。中には、外で吠えている犬に、窓や戸を開けて姿を見せながら叱ります。このことは、犬の吠え声と飼い主の叱り言葉が一緒になってダブル騒音となっていることに気付くべきでしょう。ご本人は、叱っているのに吠えるのをやめてくれない・・・とアピール? 中には、犬の目を見て叱る人もいます。私は、この方法で吠えなくなった犬を知りません。むしろこじれて更にひどくなっているのが多いと感じています。私を含め多くの方は、成長過程でミスったら叱られて育ったので叱る(叱られる)ことに慣れ、叱ることで矯正できると信じているようです。

行動治療(矯正)は、吠えたら反応しないで無視し、叱り言葉などの声掛けしない、姿も見せないなどとされていますが、すでにこじれてしまった犬には難しいです。こじれた原因を探ると、犬が吠えているときに、「こら」「ダメ」「うるさい」「やめろ」「NO」「OFF」などや「愚痴り言葉」などの言葉をかけても犬が理解していないからやめないのであって、連続した叱り言葉や大声は、逆にあおり言葉になっているのです。ましてや、屋外犬にとって、姿を見せればやっと姿を見せてくれて尚且つ叱り言葉であっても声をかけてくれたことがご褒美となってしまいます。室内犬の場合も、吠えたらすぐに別の部屋などに行って姿を消し、決して眼を見たり声掛けしないことです。
ということで、叱れば叱るほど、問題行動が強化されてこじれてしまい、「叱っているのに治らない」ということになります。同時に体罰を加えれば、反抗心を呼び覚まし攻撃性など更なる問題を引き起こします。近所迷惑になってしまった犬は、飼い続けられないとの理由でやむなく殺処分の対象となってしまうことになってしまうかも。

このような吠え犬を救うのは、声帯切除を行って、吠え声を小さくすることです。声帯の完全切除は、声でなくパイプの中を空気が通るような音になり、不完全切除の場合はその程度によって、声の質が大きく変わり音量も小さくなり、咳をしているようになります。このようになると、殆どの人は吠えていることに気付かず、無視することになるので、数か月後には犬が吠えても誰も反応してくれないから吠えることが減ります。
ということで、声帯切除は、行動治療(矯正)トレーニングで治せない場合やこじれすぎて嫌われてしまった場合に行うことを考えてみましょう