独語79 新参猫:タロウ

2023(令和5)年12月中旬、タロウがやってきて、我が家のネコ家族の一員となった。
タロウの飼い主は、重病を患いICUに。生還の可能性がかなり低く退院の可能性はないとのこと。飼い主の知人と一時的にタロウの世話をしていた方から、継続的に飼育管理はできないこと及び今後について相談された。タロウが15歳と高齢であることから、引き取って飼ってくれる人が誰もいなかった。
ということで、タロウを引き取ることになったが、病歴など全く分からない。去勢されたオス猫、体重4.5kgで栄養状態は3/5、5/9、100%(三通りの栄養表示)と良好であった。しかし、歯石が多量で歯肉炎、歯根炎、口内炎があって口臭がひどかった。幸いにも、身体一般検査と血液検査で、他の異常所見がなかった。来た当初は、少々オドオドしていたが、食欲もあり糞尿の排泄も順調で、引っ掻くなどの攻撃性もない。だが、当家の一匹の猫との相性に難があり互いに鳴きわめき合うが喧嘩はしない。一週間の経過観察後、歯石除去と抜歯を行ったところ、残存歯牙は、ほんのわずかしか残らなかったが、術後の摂食障害もなくしっかり食べている。
来た当初は、やや控え目の行動で高い台などに飛び乗ることはなかった。高齢猫なのに、予想に反して徐々に活動性が高くなり、高い台や棚に飛び乗ったり、態度も図々しくなってきた。一か月後には、ずっと以前からここに住み着いているような感があり、全く違和感が無くなっている。他の猫とも遊ぶようになり良好なコミニケーションが取れており、年齢を感じさせず若返ったように見える。タロウは、元来人との関係は問題なく、初めての人にも抱っこされ人懐こいネコである。時々、膝の上に乗せろとせがんだり、勝手に乗ってきて邪魔をする。タロウ専用の椅子に丸くなって爆睡し、少々のことでは目覚めない、ちゃんと居場所を確保し、我が家での存在感を示している。以上のことから、タロウは飼い主さんから愛されていたものと実感している。
タロウの飼い主さんは、3月中旬に他界されたとの報があった。存命中、我が家でのタロウの実際の状況をお伝えしてあったので、安堵されておられたとのことでした。