独語74 被災ペット救援のジレンマ

2024(令和6)年1月1日、能登半島地震が発生し、多くの住宅が損壊し居住不可となり、避難所等で避難生活を余儀なくされている。インフラ損壊、断水、停電、交通困難、火災、土砂崩れ、津波、地盤の変化などがあって救援活動に支障が出ている。被災者の救援を第一にし、避難生活の安定を図ることが最も大切なことは言うまでもない。
発災後2週間,、避難所へのペット同行避難は、認められていないようで、車中泊などでの生活をしているのではと思うが,、情報がない被災ペットとその飼い主家族の双方を支援する体制(公助)が出来ておらず、自助のみのようで、共助もままならないようだとは言っても、石川県獣医師会は、被災動物の保護救済活動を開始したと報道された。県、獣医師会、動物福祉・愛護・保護団体等による動物救援本部がまだ設置されていないようだが、ボランティア等の介入が許されていないので、やむを得ないかも。

被災したペットの救援活動は、1995(平成7)年1月の阪神・淡路大震災が発生した後、その翌年の1996年に、「緊急災害時動物救援本部」が設立されて活動し、その後の有珠山噴火、三宅島噴火、新潟中越沖地震などで支援活動を行った。2011(平成23)年3月の東日本大震災では、被災動物救援のための寄付金が約7億円寄せられ、緊急災害時動物救援本部がその管理・運営を担っていた。しかし、この義援金の使い方に、批判が起こり、救援活動の問題点が検証された結果、2014(平成26)年に「一般財団法人全国緊急災害時動物救援本部」が発足した。当該自治体と獣医師会等で構成される「現地動物救援本部」が行う被災動物とその飼い主家族を支援する活動をサポートすることになった。だが、発足間もなく、当法人が東京地裁に告訴されたことなどから、法人の名称変更と理事長交代が議決された。そのため、2016(平成28)年に「一般財団法人ペット災害対策推進協会」(災対教)(院長独語10を参照)と改称し、義援金の使途に批判をしていた私が、理事長を無理やり、シブシブ引き受けざるを得なくなった。裁判は、勝訴したが、義援金は、東日本大震災で被災した動物のためだけしか使えないと制限されてしまった。
この大震災後に、被災ペットを救護する名目で寄付金を集める俄か動物愛護・保護団体と個人が一気に増えたが、その実態は眉唾物が多数あり、一種の災害ビジネスの態様であった。災害時に胡散臭い団体と個人が出現し暗躍した。
理事長就任して間もなく起こった熊本大地震では、現地動物救援本部の支援を環境省とともに行った。その後、豪雨災害時などにも対応し、災対協への期待があった。しかし、活動資金の枯渇で、2018(令和1)年12月末を以て、災対協を解散した
災対協の解散に当たり、解散後の被災ペットの救援は、「ペット災害支援協議会」が設立され、当該自治体「現地動物救援本部」の求めに応じて、ペットフード及びペット用品など物資の提供をしてくださることになっています。