独語19 子供のいじめ問題とAAE(動物介在教育)

最近の報道で、子供間のいじめが5倍に増加していたとあった。過去、いじめの他に学級崩壊やモンスターペアレントの問題が報道されていたので、改善が図られているものと思っていた。昔からいじめっ子がいて、いじめられっ子に対していじわるや暴力を受けたり、仲間外れや言葉でののしられたりなどがあり度が過ぎてしまうことがあった。そのため、精神的にダメージから不登校になる子がいます。最近のいじめには、スマホやラインなどでの誹謗中傷などもあると言う。

いじめや暴力を減らすことができないのだろうか?

「人と動物との相互作用に関する国際連合」International Association of Human-Animal Interaction Organization (IAHAIO) の会議で、Humane Society United States (HSUS) が報告したものの概略を記します。小学校にボランティアがコンパニオンアニマルを伴って訪問して行う動物介在教育Animal Assisted Education (AAE) を毎週6か月間行った学校群とそうでない学校群とを比較した。その結果、学級崩壊がなくなった、子供同士のいじめや暴力がなくなった、先生の言うことをよく聞くようになった、整理整頓が良くなったなどその差異が明らかであったと報告した。さらに、オーストリアのKortschal & Ortbauer の両氏は、6~7歳の児童二つのクラスを対象に、一つのクラスには動物を介在させない授業を、もう一つのクラスには犬を介在させた授業を行った。その結果、犬を介在させたクラスでは、子供の自主判断力が高まり、集中力が出てきた、また、攻撃的行動が減り、ケンカが起こった時に仲裁にはいる児童が増え、児童同士の親睦が深まったと報告した。この報告は、AAEの有効性を示している。

私は、過去に動物介在活動 Animal Assisted Activity (AAA) の一環として幼稚園に毎月ペットを同伴しAAEもどき?を行った。小学校の2校にも訪問し、うち一校は1か月後に再訪し2回行った。最初の訪問で二人の生徒が犬は怖くて嫌いで近寄ることができず教室の端っこで活動場面を見学していたが、2度目の訪問時にこの二人が自主的に犬に近寄り触ってくれた。このことは、予想していなかったので、驚いたともに繰り返し行いたいと思った。AAEの効果を確認するために、継続的に実施したかったが、壁に阻まれ検証できなったことが悔やまれます。

我が国では、学校内でウサギ、鶏、モルモット、まれに山羊やアヒルなどの動物を校庭の片隅にある飼育小屋や教室内で飼育している学校飼育動物がいる。その目的は、命の大切さ、愛する心の育成、人を思いやる心、動物への興味、生きる力などを学び養うこととなっているが、全校生徒が関わるのではなく、飼育委員会の子供たちのみが世話をしているので、その効用が限定的となっている。私は、学校で動物を飼育するなら、飼育小屋を校門近くに設置し、全校生徒や教師が毎日観察できるようにし、父兄も見れるようにする。飼育している動物の給餌・飼養管理状況、健康状態など定期的にをチェックするために、監視員を自治体や教育委員会が雇用或いは適任者(組織)に委託し、各学校へ巡回してもらいたいと考えている。

何はともあれ、AAEと学校飼育動物は似て非なるもので、いじめ問題などを減らせる可能性があるAAEを、学校教育課程に組み込むことを考えてもいいと思っている。しかし、AAEの有効性情報を、文科省をはじめ多くの教育関係者が知らないのかも・・・ 獣医大学に、人と動物に関する関係学や動物福祉学の講座がないのも問題かも